戦争後症候群とCMI

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 戦争後症候群とは米国市民戦争から最近の戦争までの大きな戦争で記録され、最も顕著なものは「ペルシャ湾岸戦傷疾病」あるいは「ペルシャ湾岸症候群」と関連した損なわれた症状複合体である。その状況は、記憶/認知障害、筋骨格系疼痛、疲労、頭痛、頻呼吸を含む一般に医学的に説明のつかない症状によって定義される。
 また、筋骨格系疼痛、全身疲労、気分や認知の問題の3徴候の一つあるいは一つ以上が少なくとも6か月以上存在することを慢性多症状疾病(chronic multisymptom illness:CMI)と定義している。CMIは武力衝突以後に南北戦争以来記録されてきて、不幸にもアフガンやイラク作戦の戦場から帰還した退役軍人に再度表面化した。CMIは症状が退役軍人時代の他の併発する障害の発展と有無により異なる複雑な慢性健康状態である。症状の異なる性質のため、CMIの退役軍人は多数の専門家を受診し、十分調整できないか、あるいは、矛盾した治療計画に終わる。
 米国では、退役軍人を評価するために医療者、研究者、教育者が一緒の集学的なチームを導入することは退役軍人個人の治療を改善しシステムに広い利益を与えるとの考えから、戦争関連疾病外傷研究センター(War Related Illness and Injury Study Center :WRIISC)、概念的には退役軍人健康管理患者一連治療チーム(Veterans Health Administration’s Patient Aligned Care Team:PACT)構想に関連し、退役軍人委員会(Veterans Affairs)のCMIへの集学的な橋渡し的アプローチを実践している。
 弾薬やミサイルの砲火から1マイル以内の兵士に多く見られるという結果から、積極的平和外交を目指す我国でも任務後のCMIに対するデータ蓄積や研究が必要と思われる。ここに掲げた資料は戦傷医療の項で示したので興味があればご覧ください。

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