COVID19による医療従事者の健康被害について

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 菅総理は世論に押されて(恐らく支持率急落のせいと思われる)、ようやくGO-TOキャンペーンの中止と医療への新たな支援策を発表した。しかしながら、現時点ではもはや寄付金や補助金による医療支援よりも、別の次元、すなわち医療従事者の健康被害、特にメンタルヘルスケアへの支援が重要となってきている。医療を支援する最高責任者として総理の言葉あまりに空虚である。

 健康被害についてについてThe National Academies PressのRapid Expert Consultation on Understanding causes of Health Care Worker Deaths Due to the COVID-19 pandemic (December 10,2020)の要点を紹介する。

①過去の感染症と医療従事者の健康被害

感染症 時期 医療従事者感染率
SARS 2003年 1,707名/8,098名(21%)感染
Ebola 2014年から2016年 リベリア:8%以上が死亡(全体では0.11%)
シエラレオネ:0.06%感染し、6.7%死亡
ギニア:0.02%感染し、1.45%死亡
COVID-19 2020年3月1日から5月31日 6%感染(内28%が重篤でICU)

②適切なPPEと普遍的マスク着用命令(universal mask mandate)のない環境の医療従事者に多かった。職場で発生したものか、コミュニティで発生したものなのか、は不明であった。COVID-19関連の死亡は職業的COVID-19暴露による死亡、疲労・ストレス・燃え尽きのようなCOVID-19により悪化した状態に起因した死亡であった。

③OSHA(Occupational Safety and Health Administration:米国労働安全局)はCOVID-19による死亡を有害物質あるいは環境への暴露に分類している。特にOSHAカテゴリーは職業的後天性感染による死亡をカウントしていない。医療従事者の疾病と死亡につながる針刺し事故のような事故の場合は職業的原因は明らかであるが、感染がコミュニティに蔓延している場合は、医療従事者個人はコミュニティ暴露よりも職業的暴露ということが困難となる。原因を一つに絞ることは困難であるが、医療従事者における過剰な病気、入院、死亡を調べることは一般市民と比較して全体的な被ばくの危険を示している。  公衆衛生上の緊急時には医療従事者のリスクは軽く見られやすいが、COVID-19パンデミックの中でも当てはまる

④ 医療従事者のCOVID-19感染調査と結果

COVID-19関連医療従事者傷病者数
2020年11月3日 CDC COVID Data Tracker 786名死亡 CDCの医療従事者の感染についての情報収集メカニズムは地元の保険部門に依存していて、2020年5月まで職業タイプと職種はコロナウィルスケースレポートに追加されていなかった。
2020年2月12日から7月12まで2,633,585名米国COVID-19症例 571,708名(22%)の職位が有効で、内100,481名(18%)が医療従事者と判明した。
Centers for Medicare & Medicaid Services(CMC) Data base:2020年7月26日 COVID-19感染及び疑いによる医療従事者12,348名の死亡

⑤COVID-19の医療従事者のメンタルヘルスに及ぼす影響

COVID-19パンデミックが医療従事者のメンタルヘルスに与える影響を評価するためのデータは燃え尽きや自殺の蔓延は限定的ではあるが大きな懸念を指摘している。2020年3月の中国でのCOVID-19最前線の医療従事者の研究では、不安、鬱、不眠、苦痛という重大な精神的及び心理的影響が見られた。大規模自然災害の犠牲者と同じようなレベルで医療従事者1,557名の1/3のPTSDを報告した2003年SARSアウトブレークのトロントのような過去のパンデミックでも見られる。COVID-19や地域のSARSのようなパンデミックがない時でさえ、医療従事者のメンタルヘルスリスクは高い。2017年44%の医師がMaslach Burnout Inventoryスケール感情的消耗と離人症の定義で定義されている、燃え尽きの症状を経験したと報告している。他の研究では特に女性の医療従事者が自殺リスクがあり、女性の登録看護師が自殺率の高いトップ6位のグループに入っている。医療従事者に課すメンタルヘルスの重荷の全範囲は不明であるが、COVID-19による死亡率として、パンデミックに関連した死亡調査は国内システムも報告基準もない。

⑥医療従事者の保護策としての普遍的マスク着用指示とPPE着用

 2020年9月、Nguyen等の医療従事者99,795名を含めた一般コミュニティの2,035,395名において2つのグループにおけるCOVID-19の症状の発展をモニターしたコホート研究では、一般に比べてCOVID-19テスト陽性が3倍高かった。追跡分析ではCOVID-19にかかるリスクは不適切なPPE供給や使用、特定の臨床設定(入院患者やナーシングホーム)、マイノリティの人種/民族性が含まれると推測した。Duke University Health System(北カルフォルニア)の前向き研究では、38%が市中肺炎、22%が医療関連、40%が不明であった。院内感染の内、70%が他の医療従事者に対するマスクをしない暴露であり、30%がCOVID-19患者の直接ケアによるものと判断された。

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