日本の課題は”分配”にあらず

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 岸田新内閣が成長と分配の好循環を唱えて誕生した。岸田総理大臣は先月、自民党総裁選挙に向けて経済政策を発表した際「富む者と富まざる者の格差が生まれ、コロナ禍でさらに広がってしまった。最大のポイントは、一部の人間だけでなく、広く多くの人の所得を引き上げることだ」と述べたが、これは的を得ているのだろうか?確かに耳障りが良く、国民も何となく感覚的にフィットするため、誰も真偽の程を確かめない。選挙戦における各党のアベノミクス批判はそれ自体に対する客観的・学問的な批判ではなく、ただの安倍前総理批判になっている感が否めない。恐ろしいのは、多くのメディアはしっかり本質を確かめ伝える努力もしないで、視聴率に踊らされ世の中を煽っている。

 このような状況下、2012年10月21日TV東京のモーニングサテライトの番組内で、クレディ・アグリコル証券の森田京平氏が「日本の課題は”分配”にあらず」という題で論評し、見ごたえがあった。中間層の分配率は他国に比べむしろ良い方であり、データ解析から見て「分配」が課題ではなく、潜在的成長率が低く、企業も売り上げ・営業利益も低下しており、これらの改善が課題と指摘している。

 選挙戦では、国民は何となく耳障りの良い公約になびいてしまうが、本質を見分け投票することが必要であるし、また、メディアも大衆迎合的な報道は慎み、物事の本質を国民に伝える姿勢が望まれる。この点では、TV東京のモーニングサテライトの淡々と「課題」を学問的かつ専門的に分析し報道している姿勢に好感が持てるし、報道のあるべき姿の一例と思われる。

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