今度こそ客観的評価に耐え得る事後検証が望まれる

Pocket
LINEで送る

 2023年4月6日陸上自衛隊のUH60Aヘリコプターが消息を絶ったという報道があった。これに関して目撃情報消失の2分前には管制塔と無線連絡を交わしていたという情報考えられる原因を推測するなどの報道があった。

 自衛隊の事故に関しては、当ブログでも2022年2月2日空自、2021年5月8日海自などを取り上げてきた。事故を減らすには客観的な、かつ、一般の評価に耐え得る事後検証の必要性を強調してきた経緯がある。報道では、『「航空事故の原因は一般的に3つに類型が分かれる」といいます。1つは「人為的なミス」、それから「機体の不具合」、そして「鳥などとの衝突」が考えられる指摘されている』が、これらについて具体的、かつ、詳細な分析・検討がなされるべきであろう。人為的なミスであれば、パイロットの飛行時間、UH60への熟練度、身体精神的健康状態、既往症、飛行前の身体的精神的チェックなど本人の飛行熟練度の他、身体的精神的能力のチェックの詳細な分析、機体の不具合であれば、機体本来の弱点、特徴も含めた整備状況の検討、突発的な事態であれば、天候状態などの自然環境、管制塔の指示指導体制はもとより、回避処置・手段の手順の適応性、など客観的な分析・検討・評価が必要である。

 消失の2分前には無線連絡を交わしたとされ、報道では『わずか2分』という短時間に何が起こったのか?ということに論点が置かれていたし、その疑問は当然である。しかし、一方、2分間という時間に緊急連絡もできないほど自衛隊の通信伝達網は脆弱なのか?と危惧さえ感じる。戦闘になればヘリコプターが撃墜されることもあり、時間との戦いが隊員の生死を分けるはずであり、実際に自衛隊のドクトリンにも60分以内の戦傷医療開始が謳われており、わずか2分間なれどされど2分間という時間は緊急連絡に関しては十分な時間と思われる。2分間の時間の重大性が理解されていなければ、台湾有事の際に自衛隊は隊員の命を守れるか、はなはだ疑問である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください