日本のマスコミの報道は、日本で起こったと勘違いするほどに、大きく報道されていて、日本人的感覚から被災者や救助方法などについて論じている。しかし、台湾は、地震対策はもとより、国民性も異なっており、あまりに日本人的な解釈から報道すると、実態の本質を誤ってしまうので注意が必要である。
国民性からいえば、日本では東日本大震災後の『奇跡の一本松』のように、忘れ去っていはいけない象徴としてモニュメント化されている。しかし、2018年の花蓮地震の際に崩壊した建築物の代表として報道された雲門翠堤大樓や白金雙星大樓は3月13日の時点で整地化され、周囲にヤシの木が植えられ、ライトアップされ、生々しい崩壊の痕跡を残すものは一切ない。現地の方々から聴取すると前向きに生きるためと言っている。良い悪いということではなく、国民性が違うことに気づかされ、国際救援の際もこのような国民性の相違を十分理解しない支援はかえって相手の感情を損ねることにつながる可能性を心得ておく必要があることを強く感じさせられた。
雲門翠堤大樓(2018年地震直後)
雲門翠堤大樓(2018年3月13日)
白金雙星大樓(2018年地震直後)
白金雙星大樓(2018年3月13日)
また、災害時の対応体制も日本とは異なっており、その対応の相違も知っておく必要がある。日本的水準から災害対応の良し悪しを論じるべきではない。私が内閣官房として視察した際の2018年台湾花蓮地震の台湾対応に関しては詳細な報告書にして内閣に渡してある。さらに、台湾の災害対策の紹介DVDも作成されており、参考にするべきであろう。興味のある方は当方に連絡して欲しい。