陸自の演習場で戦車の砲弾が暴発:原因究明は勿論の事であるが、この隊員達がどんな医療体制下にどんな治療を受けたかが戦傷医療の視点からは現状の自衛隊医療の大きな課題・問題である。

 毎日新聞によれば、『21日午前8時40分ごろ、大分県の陸上自衛隊日出生台(ひじゅうだい)演習場で「訓練中に戦車が暴発した。複数人が負傷している」と119番があった。日田玖珠広域消防本部によると、男女4人が救急搬送され、うち男性3人は心肺停止という。女性1人は顔などをやけどして重傷だが意識はあり、ドクターヘリで福岡県内の病院に搬送された。』ということであった。

 翌2日には同新聞に『陸自の西部方面総監部に設置された事故調査委員会が22日、現地調査を始めた。車体内部の確認や関係者への聞き取りなどを進める。陸自などによると、破裂した120ミリ対戦車りゅう弾は、戦車の装甲を破壊する威力があった。10式戦車は車体上部にある回転式の砲塔内に砲弾を格納し、発射の際は砲身に自動装塡(そうてん)する構造で、どの段階で破裂したかは不明。搭乗していた隊員は無線で車外と交信しており、事故調は今後、事故直前のやりとりも調べ、戦車や砲弾の不具合か人為的なミスかなど、事故原因を究明する。』とある。いつもの事故対応のように事故解明に全力を尽くすとあるが、その他の事故同様に、閉鎖環境での内輪の自己分析では限界があるであろう。

 この事故は、自衛隊の医療体制の問題を含んでいる。防衛力の向上を叫びながら、その隊員の戦傷に関しては、毎日新聞にあるように、119番通報、ドクターヘリ、福岡の病院、というように民間救急に依存しているのである。防衛省が設置・運営する医療機関は、防衛医科大学校病院、戦傷医療センター、自衛隊中央病院自衛隊地区病院があり、しかも搬送にはヘリはもちろん、機動衛生ユニットまで運用しているはずである。平常時の話し合いでは、戦傷医療への民間の協力には前向きではないにも拘らず、病院前救護体制、搬送後送体制、医療体制、何一つ完結できない現況である。この貧弱としか言いようない現況で、自衛隊員が銃後体制を信じて戦えるのか?大いなる疑問である。

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