イスラエルで人々が平和に暮らすには軍が必要だ

時事ドットコムニュース2019/5/15/05:38「対テロ作戦に日本人女性=イスラエル在住の清水軍曹」の記事の中の言葉である。さらに「危険な場所での任務にためらいはない」と語っている。自衛隊員にこのような気概があると信じたい一方で、その気概を下支えする医療体制は本当に大丈夫なのか?と懸念を抱く。

陸自幹部2人派遣決定の矢先 シナイ半島で33人死傷自爆テロ

多国籍軍・監視団(MFO)に陸自幹部2名の派遣を決めたシナイ半島で自爆テロがあったという報道があった。万が一、彼らが負傷した場合の現地の医療体制はもとよりrepatriation serviceまでが外国または民間に委ねられ過ぎてはいないのだろうか?自衛隊の自己完結性を高めない限り、紛争地域ではその役割を十分果たせない。

F35A墜落

 「最新鋭ステルス戦闘機F35A1が墜落し、搭乗員1名が行方不明になっており、自衛隊や米軍が周辺海域で捜査を続けている。岩屋防衛大臣は「引き続き人命の救出に全力を尽くす」と強調した。航空幕僚監部に設置した事故調査委員会を中心に、原因究明と再発防止に努める考えも示した。」との報道があった。 しかしながら、戦闘機の事故調査委員会はその性格上から恐らく閉鎖性が強いと考えられ、どこまで解明されるか疑問が大きいだけはなく、行方不明のパイロットに対する救助体制や医療体制の課題についは触れられていない。AIの進歩にて全無人化されるまでは戦闘機はパイロットがいなければただのハリボテにしか過ぎないにもかかわらず、事故調査委員会は事故そのものの検討だけで、パイロットの救助や医療体制は考えもしない。本当に有事の際に撃墜されたパイロットの救出救助体制や医療体制は確立されているのか、現状の自衛隊の医療体制を鑑みるとはなはだ疑問と言わざるを得ない。

従軍環境における眼の評価のための超音波の使用

 熟練者にとっては有効な診断機器であり、眼球破裂、硝子体出血、網膜剥離、球後出血の診断に使われる。また、英軍ではMilitary Medicine in Iraq and Afganistan:A comprehensive reviewによれば眼球の評価以外に頭蓋内圧亢進の診断にも利用される。超音波装置をFASTだけではなく、頭蓋内圧亢進の有無についても評価していることは戦場のような医療資源に乏しい状況下では非常に実践的であると考えられる。私も第38回日本救急医学会(2010年)に視神経鞘直径(optic nerve sheath diameter:ONSD)の有効性を報告したが、CT/MRIなど画像所見が得られにくい環境では行う価値のある検査である。

第13回永田町防衛勉強会

清谷信一氏のご厚意により2019年2月5日(火)「米国の戦傷医療へのアプローチと防衛省・自衛隊医療の現状」というタイトルで12時から13時30分衆議院第1議員会館-B1F-第1会議室にて講演させて頂きました。講演会に参加されていた長島昭久衆議院はフィリピンの事故の件について田原衛生監に問い合わしたところ「助からなかったから日本に送還しなかった」と答えたということでした。もし問い合わせをした者が医師であっても同じように返答をするのであろうか?助からなかった理由もなく助からなかったということで満足する医師はいない。

J wave 特集コーナーUP CLOSE 『戦地医療問題について』に出演

2019年1月31日Jwave:20-20:40に出演し、『自衛隊の医療体制の不備』のタイトルの下、堀 潤キャスターと20分間「国を守る自衛隊の生命があまりにも軽視され過ぎている」という大きな問題について真摯な話し合いができました。今回のフィリピンの事案は単純な訓練と無関係な交通事故死として扱うのではなく、憲法改正などイデオロギーのみが論じられ肝心の自衛隊員の命が論議されてこなかった中での事故死と考える必要があります。憲法で自衛隊員の身分は守られても命は守れないことを銘記すべきです。

旧軍引きずる人命軽視

2014年8月14日東京新聞朝刊に載った記事のタイトルである。2006年4月愛知県の小松基地からクウェートのアル・アルサレム空軍基地に派遣され大けがをした元三等空曹の池田さんが国を相手取り1億2,300万円の損害賠償を求めて名古屋地裁で続けている記事です。

 その中に、『同年7月4日、米軍が主催する長距離走大会で米軍の大型バスにはねられ、左半身を強打して意識を失いました。激しい痛みから横になる毎日。帰国できたのは2カ月も後のこと。症状は固定してしまい、病院では「何故放置したの」と驚かれるほどでした。』とあり、『どの国の人の命もかけがえのない命です、戦死することにない政治家こそ、戦場に立つ一人ひとりの痛みに想像力を働かせ、断固として平和を守り抜くという強い決意を示す必要があります。』と結んでいます。

 この記事を読んだ際、クウェートではどのような医療を受けたのか?、文化や風習、医療制度の異なる環境下での医療体制は?、本国への後送システムは機能していたのか?正確な情報が得られず今後の参考になるのか?など2014年11月に某衆議員議員に話したことがある。しかしながら結果として何もレスポンスもなく、この時期を境に石原慎太郎氏と自衛隊員の生命をもっと真剣に考え対処して行こうと活動してきてました。

 2018年10月2日フィリピンで行われたアメリカとフィリピン海兵隊の共同訓練参加中、1名(38歳)が10月6日に死亡し他1名(40歳)が肋骨骨折重傷した事案についても、防衛省に問い合わせても「フィリピンで適切な医療を受けた」以上の情報は得られませんでした。医療面だけではなく、レーダー照射問題では韓国に情報開示を強く迫っている防衛省は自分に関する情報は隠蔽するという自己矛盾体質を未だに改める気はありません。 

 この2事案から見ても、防衛省・自衛隊の「人命軽視」の考えはこの4年間に限っても全く進歩が見られず、ただ漫然と事件の風化を待っていたとしか考えられません。今までも現在も自衛隊員の安全管理に万全を尽くしていると思えない状況下で今回の訓練の指揮者である青木伸一水陸起動団長の「痛恨の極み。ご冥福を心からお祈り申し上げる。今後とも訓練の安全管理に万全を期す」の言葉はあまりにも軽い。