自衛隊でも陸・海・空の統合が勧められているが、米国国防総省(DoD)は、Joint All-Domain Command and Control(JADC2) 構想を進めており、陸・海・空・宇宙・サイバーすべての領域での情報・指揮統制の統合を目指していて、その中で、空軍の貢献部分が「Advanced Battle Management System(ABMS)」 である。
ABMSは、センサーから射撃までの「情報収集・分析・意思決定・行動(sensor-to-shooter)」を高速・自動化するためのシステム・オブ・システムズ(複合統合システム)として構想されており、ABMSは、将来的に米空軍およびDoD全体のデジタル指揮統制の中核を担う重要構想であるが、現段階ではまだ定義・統合・実装が発展途上である。成功の鍵は、技術革新だけでなく、ガバナンスと文化変革の両輪にあると結論づけている。
主な理由として、①ABMSは非伝統的な取得(アジャイル開発)手法で進められており、まだ明確な要求仕様・性能目標・スケジュールが不足、②初期段階では「実証実験(on-ramp)」が中心で、実運用レベルの統合・性能評価は未達成である、③2021年以降、開発主担当が「空軍チーフアーキテクト室」から「Rapid Capabilities Office(RCO)」に移管され、実運用化フェーズへ移行中である、④統合指揮権限が不明確で、各軍種が独自にシステムを構築しており、相互運用性(interoperability)にリスクがある、が挙げられる。
