TCCC、ATLS、TECCの相違

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ATLS/TCCC/TECC
advanced life support/tactical combat casualty care/tactical emergency casualty care

Ⅰ.TCCCとATLS
TCCCは、医療提供者が安全で安定し早期死亡の最多の原因が気道や呼吸の障害であるATLSの標準化した外傷治療アプローチを土台にした想定は戦場という設定ではしばしば役に立たない。過去の戦傷研究から穿通性外傷の頻度が高く、通常では見られない複雑な破壊的な外傷がみられる。このためTCCCとATLSのアプローチは異なっている。
TCCCATLS

Ⅱ.TCCCとTECC
TCCCとTECC(tactical emergency casualty care)が混同されている。ともに医療提供者が危険な状態下の負傷者治療のアプローチであるが、前者は戦場における予防できる死亡を減少させる目的であり、後者は市中における予防できる死亡を減少させる目的である。最近よく見かける「事態対処医療」なる言葉がさらにTCCCとTECC(tactical emergency casualty care)の混乱に拍車をかけているように思われる。「前線医療の処置マニュアル」はあくまでTCCCを紹介している本である。そこでTCCCとTECCの違いを概説する。
①TECCは民間医療の現場において切迫した危険、銃撃や有害物質放出や建物崩壊、の遭遇した際に、資源が限られ危険な状況下で治療の必要性と脅威の均衡をとって安定化をするものである。
②訓練受講対象は市民も含めたfirst responder、EMT、医師などであり、TCCCが対象とする兵士や軍医とは違う。
③TECCは基本的にはTCCCを土台にボランティアから始まり2011年に行政も是認した。
③CUR/TFC/TECのように、危険の切迫条件によりhot zone/warm zone/cold zoneというフェーズに分類している。
④USSOCOM(United States Special Operations Command:米国特殊作戦軍 )戦略的外傷プロトコルで設立した頭字語「MARCHE」アルゴリズムはTFCにおける治療の連鎖と互換性がある。
⑤我国でいえば、TCCCの担い手は自衛隊であり、TECCの担い手は消防警察行政ということになるであろう。テロであっても有事に相当する事案でなければ、民間が主体のTECCが活動すべきであり、この整備が望まれる。
TCCCTECC