台湾有事を医療的支援の面から考える。

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玉城沖縄県知事、台湾有事計画「攻撃目標になると危惧」』という記事を読んだ。台湾有事を想定し、自衛隊と米軍が日米共同作戦計画の原案を策定したことに関し、沖縄県の玉城デニー知事は24日、防衛省で鬼木誠防衛副大臣に「台湾の有事で、再び攻撃の目標になることがあってはならないと危惧している。これ以上過剰な基地負担があってはならない」と述べた。これに対して、岸信夫防衛相は同日の閣議後記者会見で、日米間では、2015年改定の防衛協力指針(ガイドライン)に基づき、共同計画の策定や更新をしているとの一般論を説明し、「計画の策定状況や具体的な内容などの詳細は、緊急事態での日米両国の対応に関わることで事柄の性質上差し控える」と明言を避けた、という内容である。

 玉置沖縄知事の発言の発端は、12月23日共同通信社の「台湾有事、南西諸島を米軍拠点に:共同作戦計画の原案策定」という記事らしい。『有事の初動段階で、米海兵隊が鹿児島県から沖縄県の南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置くとしており、住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高い。年明けの開催が見込まれる外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で正式な計画策定に向けた作業開始に合意する見通し。23日までに複数の日本政府関係者が証言した。平時は基地建設などはせず、台湾有事の緊迫度が高まった初動段階で自衛隊の支援を受けながら部隊を投入する。米軍の拠点設置には、日本政府の政策決定などの必要がある。』という内容であった。

 Preparing for the future of combat casualty careによれば、米国国防省は起こり得るCDO(contested, degraded, or operationally limited)に対して、米軍が攻撃に耐え回復できることを確実化する軽減作戦や技術に必要な投資をすると同様に、如何に米軍の力と作戦を最良に発揮するかついて考えている。積極的な抑止力、いわゆる敵の攻撃力を封じる役割、としては、例えばパトリオットミサイルの防衛システムがある。一方、受動的防衛手段や積極的防衛手段を通過した敵のミサイルの損害を低下させることも必要である。受動的防衛手段としては爆風や榴散弾から守る固いシュエルター、燃料備蓄の分散、カモフラージュなどがある。いずれにしろ、施設や整備だけではなく貴重な人材(市民も軍人も)が失われ、結果として軍の能力が低下するため、全体の軽減方策では医療支援が重要になっている。イラク、アフガンにおけるRole1から5までの階層的戦傷医療体制ではミサイルによる大量戦傷者には不十分であり、収容能力、治療能力、情報や物資の総量、SurgeについてMTF(medical treatment facility)の向上、医療システムのネットワークに邁進している。医療システムのネットワーク化には同盟国の支援が要点の一つである。各同盟国では部分的支援から全面支援まで支援の程度の温度差はあるにしても対応を求められている。日本も求められていると思うが、その内容は軍事的な支援内容と同様、明らかにされていない。

 将来的な戦争では、直接的に軍力を低下させる軍に対する直接攻撃のみならず、間接的に軍力を低下させる軍のロジスティクスや医療施設も攻撃の対象になる可能性がある。また、直接攻撃に際に反撃に転じるにも医療的な支援は欠かすことができない。台湾有事は確かに台湾が主戦場であるが、台湾有事の際には在日米軍の全体的な作戦になるはずである。米軍の基地は沖縄だけではなく、横田にもあり、日本がどの程度の軍事的、医療的支援を約束しているかにより、台湾有事は沖縄県民だけの話ではない。日本全体の危機として考慮すべき緊喫の課題である。

 

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