今こそ、新型コロナウィルス感染症類型を変えることを議論する時

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 2022年1月5日日刊ゲンダイDIGITALに『安倍元首相が新年早々「コロナ5類扱い」発言 医療崩壊の“元凶”また政権に口出しで批判噴出』が載った。抜粋すると『感染症法上の分類を「季節性インフルエンザと同じ『5類』として扱う手はあります」と発言。そうなれば、たとえ感染しても日常生活の制約はほぼなくなるが、医療費の公費負担もナシ。国民は「自助」を強いられる。そもそも度重なるコロナ失策で求心力を失い、2度目の政権ブン投げに追い込まれる大失態を演じたのはお忘れのようだ。新年早々、安倍元首相が吠えたのはアベ寄りで知られる読売新聞のインタビュー(1日付と3日付朝刊の全2回)。新型コロナは「指定感染症」に分類され、SARS(重症急性呼吸器症候群)などと同等の2類相当の措置が取られている。そのため、医療機関や保健所の負担軽減を理由にし岸田政権に対し、「今年はさらに踏み込み、新型コロナの法律上の位置付けを変更してはどうか」と提言。こう続けた。「入院治療が原則で、医療機関や保健所の負担は大きい。感染の仕組みが次第に解明され、昨年末には飲み薬も承認されました。オミクロン株への警戒は必要ですが、薬やワクチンで重症化を防げるならば、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ『5類』として扱う手はあります」そもそも、医療崩壊の原因は安倍政権下で始まった病床数の削減だ。医療費削減を理由に25年時点で最大20万床削減を目指し、自宅療養を推し進めてきた。安倍元首相の「5類発言」は、〈お前は出てこなくていい〉〈政権を投げ出したクズが口出すな〉などとネット上でも批判されている。』

 記事は安倍批判一色であるが、政治的、感情的バイアスを除いて、今こそ、真摯に医学的に新型コロナ感染症の感染症類型を考える必要があると思われる。それには今まで集積した疫学に基づく手法が望まれる。

 NHKのデータによれば、国内の感染者数_1日ごとの発表数と国内の死者数_1日ごとの発表数に関して、2020年1月6日からの日々の推移をまとめると以下のグラフになる。2021年1月6日は国内感染者4,475名/日、死亡者1名/1日であり、昨年同月同日の 国内感染者6,049名/日、死亡者65名/1日 に比して明らかに死亡者が少ない。

 さらにNHKのデータでは重症も減少している。さらにオミクロン株では市中感染の拡大が認められ、感染者の集団隔離よりも非感染者の予防策(うがい、手洗い、マスク)がより効果的と考えられる時期に移行している。

 厚労省によれば、『例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。』まだ、疫学調査が不十分ではあるが、オミクロン株はインフルエンザと同様な傾向ではないのだろうか?少なくとも死亡率はあまり変わらない感じがする。

 感染者数、死亡数の推移、重症者数、市中感染の拡大などから見た場合、安倍元総理の発言が突拍子もないものとは必ずしも言い切れないと思うのは私だけであろうか?

 過去の報道でも新型コロナウィルス感染症の2類相当の分類に関しては問題が提起されてきた。いくつか紹介する。毎日新聞 2021/8/26東京朝刊では『新型コロナウイルス感染症は令和2(2020)年1月28日、厚生労働省健康局長名で「指定感染症」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000589747.pdf)となっている。いわば「法定伝染病」で、罹患者は隔離せねばならないのが「大原則」です。いま、適切な対策が講じられなかったために、罹患者の数が従来の100倍程度、爆発的に増大し、病院がパンクすることが見えているからといって「指定感染症」が指定でなくなるわけもない。2次感染を予防する適切な設備を持たない、一般家庭に留置して、そこで加療することは、それ自体、同居家族などへの2次感染を作り出す一大要因になりかねません。』、2021年1月8日デイリー新潮では『以前から現場の医師のなかには、2類相当から下げたほうがいいのではないか、という意見があった。私も2020年4月ごろから厚労省の担当官に“新型コロナは2類相当で扱うのに適していないのではないか”と話していました。致死率を考えると高齢者にはインフルエンザ以上でも、若い人にとってはインフル相当かそれ以下。SARSやMERSと同レベルに扱うのは違うと思う。2類相当は原則入院も強制ですが、それが必要な疾患ではないし、現実問題として重症者が増え、入院は重症化リスクが高い人に絞る必要がある点からも、2類相当とするのは違うでしょう・・(中略)・・・8月28日、当時の安倍晋三総理は2類相当を見直すと明言した。実現していれば、逼迫する医療にこれほど慌てなかっただろう。だが、感染者数という数字が増え、批判されるのを恐れたか、菅義偉総理は前総理の約束を反故にした。そして、やはり感染者数が増えると「人命軽視だ」と非難される専門家と歩調を合わせ、「2類を見直す」という声をタブー視し、悲痛な正論を述べる医師を孤立無援に追い込む。政治家も専門家も、総理の著書にあるように「覚悟」をもって、多くの国民の命を守るために、本当に必要なことに目を向けてほしいが、現に見えるのは、ウイルスより醜い人間のエゴイズムである。』、2020年3月1日医事新報では、『この感染症の診断はPCR検査によって行われている。PCR検査は感度については良好であるが、鼻咽頭粘膜などの検体採取部にウイルスが存在しない場合、感度をいくら上げても陰性と出る可能性が大きい。そのため検査陽性の場合は感染ありと断定できるが、陰性の場合は信用ができない可能性がある。PCR検査を希望者全員に行うことは感染者の数を著しく増やすことにつながると考えられる。この場合、無症状や軽度の症状の人もまとめて新型コロナウイルス感染症と診断されるので、指定感染症である以上、原則的には入院隔離措置が執られることになる。そうすると、感染症指定医療機関ではない一般の医療施設でも入院させざるを得ない状況になり、逆に院内感染を拡大させる可能性が増してくる。いつの日か、本感染症を指定感染症から解除する時がやってくると思われるが、そうなってくれると通常のインフルエンザと同様に軽症の場合は自宅待機を勧めることが可能になり、医療における混乱が生じる可能性は減少する。個人的な意見になるが、これからの1カ月間の感染の動向により新型コロナウイルス感染症への基本方針が大きく変わる可能性が高いと考えている。新規感染者より回復者の方が多くなれば指定感染症の枠から外し、季節性インフルエンザと同じ診療方針で行えばよい。新規感染者がなお回復者を大きく上回っているのであれば、感染ルート探索のために全力を挙げ、個別の調査により感染源を完璧に絶たなければいけない。結果が前者であってほしいと強く望んでいる。』

 毎日感染者数の増加を見て第6波がやってきたとことさらに騒ぐのではなく、疫学調査をしっかりやって、その上で感染症類型を変更していくことが、「with CORONA、コロナとの共存」を目指すために必要であると思われる。

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