2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻してから2年余が経過しました。理由はともあれ、主権国家に対して侵攻すること自体は本来『正しいこと』とは言えません。しかしながら、我々は、第一次世界大戦、太平洋戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、などの経験から、各国の思う『正しいこと』の解釈は各国で異なっていることを学びました。また、残念ながら、戦争終結には、絶対的・圧倒的な軍事力的制圧しかない、ということも知っています。
紛争・戦争は、宗教の違い、民族の違い、政情、大国の思惑、資源の奪い合い、などの原因で起こると言われています。すなわち、誰が考えても普遍的・絶対的に『正しいこと』が紛争・戦争の原因ではなく、各々の独自の原因により紛争・戦争に陥る原因があり、それは当事国以外には理解不能ということです。それを鑑みれば、当事国以外の第三国が当事国のどちらを『正しい』と判断するの基準も、判断する国の宗教、民族、政情、大国の思惑、資源などに基づいた価値観で判断されます。今回の紛争・戦争に関する国連の決議を見ても各国の価値観の違いが露呈しており、これが世界の現状という認識を持って外交を行う必要があると思います。我国のウクライナ支援は宗教、民族、政情、大国の思惑、資源などの判断基準の一体何を判断基準としたかが国民には示されず、た漠然とした『何を正しいこと』ためとの判断か、ただ盲目的・感覚的に、ロシアは悪で、ウクライナは善という単純な考え方に従って、支援しているとしか思われません。当事国以外に彼らの考えている『正しいこと』を分かるはずなく、にも拘らず、我国の周辺ではない遠いヨーロッパの紛争・戦争に著しい金銭支援を実施しているのは、恐らく民主主義の防衛という大国(米国)の思惑に踊らされており、我国の独自外交の姿が見えません。敢えて、どちらの当事国にも支援しないという選択肢もあったにも拘わらず、能登半島地震や子育て対策など本来我国自体にもっと必要とされる支援よりもウクライナに支援する方が優先する状況の説明がなされていないことは憂うべき現状と思われます。
前述したように、過去の例からしても、戦争終結には、絶対的・圧倒的な軍事力的制圧しかないことから、現状でのウクライナとロシアの戦力分析がとても重要です。マスコミも含めて、ウクライナ寄りの報道が目立ちます。しかしながら、多くの経済制裁を受けているにも拘わらず自力で戦闘を維持できてるロシアと砲弾も含めた兵器を他国からの支援によって戦闘を維持しているウクライナでは、余程のことがない限り、ロシアの優位性は動かないはずです。さらに、米国など直接的に関係の浅い国では対中国の政策上、この紛争・戦争の結果が問題ではなく、ロシアの兵力を削ぎたいという理由であったとしたら、十分その目的は達せられたと思われ、支援の継続は今まで以上に増加はしないと考えられます。最近ではゼレンスキー大統領も西側の支援疲れに危機感を感じていると報道にもあります。つまり、支援を他力本願に依存している以上、自前のロシアに勝利するのは著しく困難と考えるのが当たり前なのですが、多くのマスコミはウクライナ寄りの報道を繰り返しています。
ウクライナ支援のほとんどは紛争・戦争継続のものであり、何も生まない支援であるだけではなく、インフラの破壊のみならず負傷者・志望者を増やしていっています。セレンスキーやプーチンのメンツによって、多くのウクライナ人・ロシア人が負傷・死亡している現実を考えれば、イデオロギーや大義名分を捨てて、自国民のために敢えて休戦するという方法も考える時期であると思われる。我国もウクライナ・ロシアの両者の被害がこれ以上に拡大しないよう、漫然とした支援ではなく、敢えて休戦を行うように進言する外交の力が望まれる。