(TCCC Guidelines 2024 (Eng) https://tccc.org.ua/en/guide/tccc-guidelines-2021-eng)
2024年1月25日のTCCC ガイドラインの最近の変更には、戦術的野外ケアにおける気道管理と外傷性脳損傷管理が含まれ、その変更点を紹介する。
Basic Management Plan for Tactical Field Careに関して
- 4 Airway Management
a.気道が閉塞されていないかどうかを評価する
b.外傷性気道閉塞がある場合、または外傷性閉塞が差し迫っている場合は、直接気道介入を⾏う準備をする
d.意識不明の傷病者を回復体位にし、頭を後ろに傾け、顎を胸から離す
f.前述の対策が成功せず、負傷者の気道閉塞(顔面⾻折、直接気道損傷、出血、変形、火傷など)が管理できない場合は、次のいずれかの⽅法で外科的輪状甲状間膜切開術を実施する
3.連続 EtCO2 カプノグラフィーで配置を確認する
g.気道の状態が変化する可能性があるため、SpO2、EtCO2、気道開存性を頻繁に経時的に再評価する
- 5 Respiration/Breathing
e.負傷者が換気障害と回復不能な低酸素症を呈し、酸素不足が続く場合
酸素飽和度が90%未満の場合は、適切なサイズの⿐咽頭エアウェイの挿入を検討し、10ℓバッグバルブマスク換気をする
f.気道開存性を評価するために、EtCO2とSpO2 を継続的にモニタリングする
- 8 Moderate or Severe Traumatic Brain Injury (unable to follow commands with either evidence of head trauma or a blunt/blast mechanism)
a. 低酸素症を予防する(⽬標SpO2 >90‑95%)
1.基本的な気道操作で SpO2 > 90% を維持できない場合、または戦術的に実⾏できない場合は、酸素飽和度低下が緊張性気胸または出血によるものではないことを確認する
2. SpO2 > 90% を維持できない場合は、確実な気道確保を検討する
b.低血圧を防ぐ;SBPを100~110 mmHgに維持する、負傷者が出血性ショック状態にある場合は、全血輸血または血漿を優先的に投与する。出血や出血性ショックの明確な兆候がない場合は、コロイド液を 1~2 L ボーラス投与する
c.脳ヘルニア(左右⾮対称または固定あるいは散大した瞳孔、または姿勢の異常を伴う神経学的状態の悪化)を特定し、治療する:
1.切迫した脳ヘルニアの治療は、最大20分まで、また外科的減圧の途中に限って⾏う
・250mlまたは3%または5%、あるいは23.4%高張⾷塩⽔30mlを10分かけてゆっくりと IV/IO 注入し、その後⽣理⾷塩⽔でフラッシュする、反応がない場合は 20 分後に繰り返す(最大 2 回まで投与)
・ IV/IO部位を監視し、血管外漏出の兆候がある場合は投与を中止する
・負傷者がショック状態になく戦術的に実⾏可能な場合は、頭を 30 度挙上
・頸椎カラーが付いている場合は緩めて、頭を前に向けたままにする
・持続カプノグラフィーを用いて過換気を⾏う(⽬標EtCO2 32‑38 mmHg)
Basic Management Plan for Tactical Evacuation Careに関して
従来の項目に⑥が追加された。
- 搬送時の治療
- 大量出血
- 気道管理
- 呼吸
- 循環
- 中等度・重症の外傷性脳損傷(TFCと同じ)
- 低体温予防
- 穿通性眼外傷
- モニタリング
- 鎮痛
- 抗生物質
- 既知の傷を検査し、手当(TFCと同じ)
- 追加の傷がないかの確認 (TFCと同じ)
- 熱傷(TFCと同じ)
- ⾻折を固定し、脈の再検査(TFCと同じ)
- TACEVACにおける⼼肺蘇⽣法(CPR)
- コミュニケーション
- 記載
なお、2021年の変更点も参考として概説しておく。
3.大量出血
b.CoTCCC推奨は結合部タニケットの除去である。CoTCCCによって特別な製品は推奨されていない。最終的な使用者が結合部出血の適応の有るFDA認可の装置を選択すべきである。
4.気道管理
d. 輪状甲状靱帯穿刺の好まれるオプションとしてCric-Key法を削除し、標準的開放外科手術から最も望まれないオプションを削除する。ユニットや最終的使用者が最高に訓練された技術を使うべきである。
※気道関連:好まれる声門外気道確保用具としてiGelを削除。ユニットは作戦が高所であるか、または後送が高度の場合にGelは未だ使用されるかもしれない。
10.鎮痛
ケタミンIV/IO投与を20-30mg(あるいは0.2-0.3mg/kg)に合わせる
12.知られている傷を調べて、手当てをする
b.可能なら清潔な温水で腹部脱出臓器を洗う選択を加える。腹部臓器を戻そうとする試みのために状況の指導要項を明瞭にする。負傷者は非経口栄養補給であり、経口で投薬しない(戦傷医薬品パック)。長期のケアの考慮を外す(現在は分離したPCC(prolonged casualty care)ガイドラインで補う)。