第一線救護衛生科隊員の教育訓練

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  第一線救護衛生科隊員教育到達目標は以下の通りである。
Ⅰ.講義では
・戦闘下救護の行動段階区分(CUF、TFC)を理解できる。
・戦闘下救護で使用する観察、手技の項目を理解できる。
・戦闘下で行う止血について理解できる。
・戦闘下で行う気道管理について理解できる。
・戦闘下で行う呼吸管理について理解できる。
・戦闘下で行うその他の処置(骨折、眼外傷等)について理解できる。
Ⅱ.スキル
①止血
・四肢の緊縛止血帯を使用できる。
・接合部の止血帯を使用できる。
・圧迫止血デバイスを使用できる。
・ガーゼパッキング(止血剤付きガーゼ)ができる。
②気道管理
・気道確保(用手)ができる。
・気道確保(体位管理)ができる。
・高度な顔面の損傷に対しての適切な体位が選択できる。
・経鼻エアウェイ(NPA:NasoPharyngeal Airway)が使用できる。
・輪状甲状靱帯切開・穿刺ができる。
・その他の気道管理デバイスを使用できる。
③呼吸管理
・チェストシールを使用できる。
・緊急脱気の処置(胸腔穿刺、胸腔ドレーン)ができる。
④循環管理
・輸液路の確保、輸液・輸血ができる。
⑤薬剤投与
・鎮痛剤、抗生剤の投与ができる。
⑥その他
・四肢の骨折等の固定ができる。
・眼外傷の処置ができる。
今後、TCCC guidelineの改定に合わせ、XSTATやpelvic bandageなどが獲得目標に加わる可能性がある。

 戦傷医療は行動段階区分(CUF,TFC,TEC)や医療施設治療レベル段階的区分(Role1,2,3,4,5)により組織的体系に基づいて実践されており、第一線救護衛生科隊員の誕生はその第一歩である。これについては2017年7月3日神戸大学医学部災害・救急医療フォーラムにおいて「戦傷医療と自衛隊の医療体制;第一線救護衛生科隊員の設立」と題して講演した際の前述の「防衛省・自衛隊の第一線救護における適格な救命に関する検討会」の座長佐々木勝氏の講演内容を参照して欲しい。
H29災害・救急フォーラムポスターH29.7.3
http://www.med.kobe-u.ac.jp/comed/pdf/handout/h290703_eme_forum_handout_sasaki.pdf