シナリオ訓練③護衛中のRPG攻撃

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NAEMT’s Prehospital Trauma Life Support : Military Eighth Edition 2014:746-747
小さなアフガニ村の一部で道路に沿ってHumbeeの後部に小隊を連れて乗車している。交差点で停車した時、約50m先にいた一人の敵がRPGの照準を定めロケットを発射した。弾頭は右前輪で爆発し、車両は右側に中等度の損害を受けコンクリートの障壁に進路を転じエンジン部分から小さな炎が出た。
車内の全乗組員が揺られたが、意識はありすぎ対応し競って車外に出た。あなたは小銃とメディカルキットを抱え地面について走った。しかし、全部右側の乗組員はHumbeeから数mしか走れず地面に倒れてしまった。あなたが身を隠す前に、チームは数か所から小銃にて応戦した。

①外で倒れている負傷兵に何の支援をするか?
 敵の砲火を排除することが最良である。チームに対する敵の砲火を最小にする。

②この時点で負傷者を被弾から守るために何かできますか?
 敵の砲火を排除し負傷兵を最も近に身を隠すように指示する。
急ごしらえの戦闘位置を確保できる隠れ場所の陰に位置し敵に反撃を開始する。負傷兵はHumbeeの陰に隠れる。5分間の戦闘後、敵は殲滅された。チームは境界線を作り、隊長はあなたに負傷兵の治療をするように指示をした。まだ狙撃される可能性があるため、あなたは負傷兵を近くの低い石の陰に移した。負傷兵の意識はあったが急性呼吸困難になり歩行できなかった。

③負傷兵をどのように移動させるか?
 一人牽引法(one-person drag)

④なぜこの方法を選んだのか?
・他の隊員は安全確保に従事しているので支援が得られない
・横切る地面がとてもスムーズ
・負傷兵の頭頸部を前腕で抱えるように持って負傷兵(鈍的外傷)の頸部固定行う
あなたの初期評価で、右頬骨弓の変形と顎の骨折、口腔内の出血を認めた。生命危機的外出血はない。負傷兵はしゃべらず首の痛みを聞いても反応がない。強い痛み刺激に反応し、かろうじてうめき声をあげる。橈骨動脈の脈は強いが、呼吸は浅く、遅く、ゼイゼイしている。戦闘服と上着を開け、胸郭の上下運動が対称的であるが可動域が小さいことを観察した。

⑤一番何に関心があるか?
負傷兵はまだ自発呼吸があるが、呼吸努力は弱くなっている。顔面下部と頸部への損傷から解剖学的変形と出血のため気道が閉塞されている。

⑥何をするか?
臨床的状態と外傷機転から脊椎損傷は除外できない。頸部固定に留意しながら、下顎挙上し呼吸が深くなることを観察する。次に、経鼻エアウェイを挿入するが、呼吸はまだ弱くゼイゼイし、酸素飽和度は65%である。

⑦次に何をする?
適切な気道確保が未だできていないため、輪状甲状靱帯切開を判断する。この処置を実施する際、隊長に9-lineMEDEVAXCが必要であるという情報を伝える。隊長はあなたにあなたを助けるために隊の中のlifesaverに一人を呼ぶように指示。処置終了後、負傷兵の意識は覚醒し酸素飽和度も94%に改善した。チューブを固定し、隊長は30分以内にヘリコプターによるMEDEVACの準備をするように告げた。

⑧他に何をするか?
 頸部固定

⑨どのようにするか?
 頸椎カラー(C-collar)がないので、徒手固定を実施。MEDEVACヘリコプターが頸椎カラーと脊椎ボードを持ってくる。

⑩他に考えることは?
・気づいていない出血部位の除外、他の隊員の出血の確認もし、誰もいない
・TXA。橈骨動脈の脈が正常なので不要
・低体温予防は?とても重要。
・鎮痛は?負傷兵はしゃべれないが不快そうであり痛いか?という問いに同意する。ケタミン50mgを筋注する。
・抗生剤は?エルタペネム1gを筋注する

⑪次に何をする?
後送ヘリコプター到着するまでにTCCCカードを完成させる。MEDEVACヘリコプターが到着したら、あなたとcombat lifesaverとflight paramedicで負傷兵を脊椎ボードに乗せ、頸椎カラーをする。あなたはflight paramedicに今までの負傷者の経過を手短に話し、TCCCカードを渡す。