CereTom/Lodox/Statscan

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戦場における医用画像は一般とは以下に挙げるような点で異なっている。
①戦傷は多発外傷が普通なので戦場ではルーチンに全身画像撮影する。
②多数の四肢外傷が発生するし、また、戦傷ではX線撮影で見える異物の存在が高いので単純X線撮影がしばしば使用される。一般の穿通性外においても単純X線撮影はしばしば使用される。
③戦傷に病態が進行するため頻回のフォローアップが必要である。
④若年者層には全身かつ頻回のフォローアップ撮影は放射線被ばくを増加させる。
⑤多発かつ重篤な損傷の負傷者を画像撮影へ搬送することは負傷者をさらに危険にする。
⑥戦場ではMRIはめったに実施されない。鉄を含んだ異物で創部が汚染されていることが多いため慎重に行う必要がある。
⑦戦傷の頭部外傷では一般に比べて脳血管損傷が全体的に多いためカテーテルによる脳血管撮影がより頻回に大規模に行われる。侵襲の少ないCT angiographyは破片からのアーチファクトや破片が細かい血管を不明瞭にしてしまうので不十分である場合がある。
⑧電力や資器材の保守点検は戦場の厳しい環境では不十分である。
戦場での急性期医用画像の目的はダメージコントロールの必要性を決定することである。多数の榴散弾を受けた負傷者には全身CT撮影が強く推奨される。一般外傷における全身CTやCT angiographyの最近の報告では、迅速に全身組織や血管損傷のための幅広いスクリーニングプロトコルとして包括的なCT撮影プロトコルが戦場でも役に立つと述べている。搬送が困難で複雑な多発外傷であるため、戦場はCereTomのような携帯用のCTには完璧な場所である。
また、単純X線撮影は戦場では頻回に撮影される。戦傷やテロ攻撃は金属製の異物が全身のあらゆる部位に同時に広範囲な重傷の外傷を引き起こす。このような状態においてはLodox/Statscanにより迅速に創の広がりや付随するより詳細なCT撮影を必要とする標的を確認することができる。Statscanは新しい低量線量のデジタルラジオグラフィーであり約15秒で全身の検索ができる。最大の直接線量は1mGyで成人の胸部X線と同じ染料である。単純X線撮影の利点は以下のごとくである。
①穿通した断片の弾道を査定する
②銃弾からの遺残した破片の存在と部位が分る
③弾丸のタイプを査定する
単純X線撮影は特に弾丸、特に手術や剖検の際に爆発する危険のある破壊的な弾丸が体内に残っている可能性を除外するために有効である。創の軌道によりフルメタルジャケットや部分メタルジャケットかの識別が可能である。部分メタルジャケットではより薄い銅のジャケットが鉛と識別でき、創の軌道に沿って小さい金属片がみられる。フルメタルジャケットではこの創軌道に沿った金属片は見られない。このような金属片はCTではビーム状のアーチファクトになるがMRIと違って患者の害にはならない。

Gean AD : Lesson 3 : the imaging approach is different in war and terrorism. Brain injury ; applications from war and terrorism. Wolters Kluwer. Philadelphia. 2014:163-172

Lodox-Xmplar