WRIISC:国家照会プログラム(National Referral Program : NRP)の結果

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Lincoln AE, Helmer DA, Schneiderman AI yet al:the war-related illness and injury study centers : a resource for deployment –related health concerns.
Military Medicine 171,7:2006:577-585

退役軍人は任務から暴露、症状、医学的状態の幅広い範囲をもって任務から戻る。退役軍人協会の部門は説明のつかない疾病を持つ退役時軍人に奉仕するため戦争関連疾病と外傷の研究センターを設立した。2002年1月から2004年3月まで国家照会プログラム(National Referral Program : NRP)に参加した53名の退役軍人の暴露、臨床状態、活用の報告をした。参加者は主に男性(81%)で、ペルシャ湾岸戦争(79%)に従軍していた。一般的診断は、慢性疲労症候群(n=23,43%)、神経症性うつ病(n=21,38%)、PTSD(n=20,38%)であった。自己報告暴露は兵器類、疾病予防、環境ハザード、貧弱な衛生状況と関連があった。NRP参照では平均SF-36Vメンタルコンポートスコア(2.8 points ,p=0.009)、リハビリテーション治療の使用(1.6 additional visits,p=0.018)は若干上昇した。精神機能の僅かな上昇はNRPが長期間複雑な既往を持つ退役軍人に利益をもたらすと示唆される。

戦争後症候群は米国市民戦争から最近の戦争までの大きな戦争で記録され、最も顕著なものは「ペルシャ湾岸戦傷疾病」あるいは「ペルシャ湾岸症候群」と関連した損なわれた症状複合体である。その状況は、記憶/認知障害、筋骨格系疼痛、疲労、頭痛、頻呼吸を含む一般に医学的に説明のつかない症状によって定義される。正式な定義はないが、砂漠の盾作戦や砂漠の嵐作戦の地域におけるペルシャ湾岸戦争に従事したほぼ70万人の兵士の数千人にこれらの問題が見られた。この退役軍人の健康問題の漠然とした環境は医師、研究者、政策策定者と同様退役軍人に大きな欲求不満をもたらした。この問題の重要性により、国立科学アカデミー(National Academy of Science)の推奨に基づいて、議会は退役軍人協会の部門は任務に関する健康懸念の理解や治療に専念する特殊なセンターを作ることを委任した。2001年5月1日2つのWRIISC(War-related Illness and Injury Study Center)が任務の関連した健康懸念と医学的に説明できない症状を持つ退役軍人の必要に応じ設立された。
 
参加者
53名の退役軍人がWRIISC NRPに2002年1月から2004年3月まで公開臨床相談から参加した。参加者は国にある局地退役軍人協会から引用した。
・男性81%、白人74%、米軍(Army)が71%、徴募され従軍した人80%、ペルシャ湾岸戦傷従軍が79%
・30歳代が51%、既婚が55%、大学出身が57%、参加者のたった30%が最近屋外で働いていた。
医学症状
・平均診断は6個以上で、2個から14個の診断であった。
・最も見られた主要な診断カテゴリーは精神疾患(n=41,参加者の77%)であり、筋骨格系疾患もあった(n=31,59%)
・最も特殊な最も多い診断は慢性疲労症候群(n=23,43)、神経症性うつ病(n=21,40%)、PSTD(n=20,38%)
・ほぼ1/5は90~100%任務に関係のある医学的状態の障害を受けた。
・愁訴は多くは慢性疼痛(n=26,49%)、関節/筋肉痛(n=17,32%)、頭痛(n=16,30%)である。
報告された暴露
退役軍人は従軍中(平均9.2か月、中央値7.0、SD=7.0)肉体的精神的ハザードの広い範囲と暴露したことを報告した。暴露の性質は特に戦争の関連したもの(兵器、疾病予防、環境ハザード、精神的ストレス)から市民や母国人に見られる普通のもの(職業あるいは衛生ハザード)まで及んでいる。
・兵器への暴露は味方と敵によって使用される両方を含む。ほぼ参加者の1/2が弾薬やミサイルの砲火の1マイル以内で報告している。神経剤、劣化ウラニウム、放射線、その他の生物兵器剤にも少数暴露している。
・多くの引用されている暴露のいくつかは武器化された化学生物剤の脅威に対する対応のため予防的健康効果に焦点をいた疾病予防に関係がある。最もしばしば引用されたのはピリドスチグミンブロマイド錠(n=24,45%)同様、炭疽菌(n=27,51%)と肝炎(n=24,45%)ワクチンである。ピリドスチグミンブロマイド錠は神経剤の前投与剤としてペルシャ湾岸戦争でほぼ全員の米軍部隊に配られた。
・環境の暴露は幅広く引用された。多くの退役軍人は1991年ペルシャ湾岸戦争中に撤退するイラク軍によって行われた火災による油井火煙(n=29,55%)に曝された。また、ペルシャ湾岸戦争の退役軍人は殺虫剤や昆虫咬傷に曝された。ベトナム戦傷の退役軍人はしばしば多くが石油化学、昆虫咬傷、弾薬やミサイル攻撃の半径1マイル以内に存在(n=6,67%)、と同様に枯葉剤(オレンジ剤という枯葉剤が広く使用された)、マラリア剤、死を目撃(n=7,78%)に暴露された。
・感情や精神的ストレスの暴露は多くの参加者によって報告された。参加者の1/2以上(n=24,45%)が従軍中に米軍、敵、市民の死を目撃した。また、ほぼ参加者の1/2(n=24,45%)は化学防護服を着用し、化学攻撃の警告に対応した。この暴露は参加者の間で不通に主な診断カテゴリーであるメンタル疾患の発展と関係がある可能性がある。
・最も広く行われた暴露は燃料(n=32,60%)、塗料/溶解剤(n=24,45%)で、その多くは従軍中の職業的な作業に関連している。その他の衛生的な暴露は汚染水による入浴や飲水、汚染物の摂取である。