シナリオ訓練④降車した隊員の IED(dismountedm IED explosive devaise)の攻撃

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NAEMT’s Prehospital Trauma Life Support : Military Eighth Edition 2014:748-749
あなたは小さな村に移動している12名の海兵隊の中のメディック名です。1名の偵察員が圧感知性のIEDを踏み、3名が負傷した。負傷していない隊員は負傷兵の周囲に防護境界線を形成した。少なくともしばらくは敵の攻撃の持続はない。

①今TCCCでは何のフェーズであるか?
 現在敵対する砲火はないのでTFCである。しかし、起こるかの知れない敵の砲火にはパトロール隊は警戒している。

②まず、何をするか?
 負傷兵の素早い評価を実施する。負傷兵①は破壊的な頭部外傷のため明らかに死亡、負傷兵②は腕と足の背側、臀部にも無数の小さな創があるが明らかな大出血はない。負傷兵③は左脚が股関節から切断されていて、骨盤や会陰部にも外傷がある。切断断端や周辺から多数の個所からひどい出血がある。不穏で大きなわけのわからない声を上げ、残った四肢で若干転げまわっている。

③どのように処置を始めるか?
 作業を分担する。combat lifesaverに破片による外傷の負傷兵(②)の評価を指示し、自分は切断の負傷兵③に取りつき、切断より中枢側にタニケットを巻く。

④誰のタニケットを使うか?
あなた自身のタニケットの中の一個を使う。正常なら負傷兵のタニケットを使うだろうが、あなたはとても急いでおり、負傷兵のタニケットが爆風により損傷を受けたかを確認するためにタニケットを調べる時間的余裕がない。

⑤どこに巻くか?
 大腿切断より可能な限り近位に巻く。タニケットを締め続けるが、切断断端には良い引っかかりが得られず、切断面と会陰部からまだかなり出血が続いている。

⑥今は何?
他のパトロール隊員の支援を受けコンバットガーゼを取り出し、3分間出血面に直接圧迫するが止血はできない。

⑦次に何をする?
combat ready clamp(CRoC)を取り出し、素早く組み立てる。CRoCを鼠径部に充て止血を行う。
隊は9-lineMEDEVACを要請し、近くの村にRPGによる危険を促す。チームは徒歩で村から1km離れた着陸区域に負傷者を移動させる。負傷兵②はコンバットピルケースを取り、彼はまだ作戦遂行可能隊員であり作戦を援助させる。しかし、負傷兵③は意識があるが混乱しており、橈骨動脈の脈は触れず頸動脈の脈が弱く速い。

⑧負傷兵の最も可能性のある診断は?
出血性ショック

⑨負傷兵③に対する治療は?
 胸骨にIOIを行い、生食100mlに溶いた1gTXAを投与しフラッシュし、続いてHextend500mlを投与する。ボーラス投与していると、頸動脈の脈がやや強くなり橈骨動脈の脈の触れるようになる。意識は混乱しているが覚醒し、呼吸も適度となりその時点では疼痛も訴えない。

⑩IOI輸液路が確保できたがあなたは他に何を行うか?
 静脈に抗生剤をゆっくり投与する。

⑪さらに何を処置するか?
 パルスオキシメーターを装着し酸素飽和度は95%。指揮官は設定された着陸区域に移動を命じ、死亡した兵士はtwo-person drag法にて運んだ。負傷兵③はthree-person carry法で運んだ。海兵隊の出血部位のモニターでは再出血していないことが確認された。他の5名のパトロール隊員は着陸区域の安全を確保している。
 パトロール隊が着陸区域に到着し、ヘリコプターは10分で飛び立ち、Hextendのボーラス投与後45分経過しているが状態は変わらない。

⑫次に何をするか?
 負傷兵③に2本目のHextendを投与する。

⑬他に何をするか?
負傷兵②③を再度評価し、迅速な治療を要する新たな状態がないことを見る。止血されていることを確認し、負傷兵③をHPMKの中に入れる。

⑭次に何をする?
 後送用のヘリコプター到着までTCCCカードを完成させる。

⑮持続する出血の止血のためのモニタリングとして20分間のMEDEVAC飛行中負傷兵③には何が必要か?
 さらなる蘇生輸液の必要性と可能なら血漿と濃縮血小板が有効。リザーバー付きの高流量酸素投を開始する。意識の改善が続き痛みを訴えるならケタミンを投与する。