戦争における医療の2面性

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 戦争における医療には、①軍という組織における医療、すなわち、軍の支援(戦闘の勝利・継続)、②負傷兵・負傷者の治療という医療そのもの、すなわち、医学学問体制、という2面性を持っている。その違いを簡単に表にまとめた。

 戦争とは国と国と戦い、紛争とはイデオロギーの違いによる衝突、テロとは個人や組織の主張の達成のため一般市民も含めて脅迫する事件、ということであるが、各々異なった形で医療を巻き込んでいく。以下の表にテロによる負傷者と戦傷負傷者の相違をまとめた。

 戦争、テロにおいては、そのパターンに違いはあるが、その際の医療は、基本的に最初に示した表のような2面性を持っている。

 軍事医療においては,病院も攻撃目標となり得る。何故なら、軍の一部であるかあらである。北朝鮮も含めて、ミサイルの照準は高度化しており、誤爆などは少なくなっている。マスコミでは、よく病院が爆撃されると短絡的に誤爆という表現をするが、戦略上は病院は大きな目標になり得る。テロリストから見ても病院を攻撃することは安全安心の象徴を攻撃することにより市民に著しい恐怖を与えられる。一方、テロリストは病院に立てこもって戦うことは病人を盾に戦えるので、戦略的にも病院に拠点を設けることは戦略上有意義である。

 倫理観は常に普遍的ではないので、より悲惨さを強調した方が、第3者の倫理観を悲惨さを強調した側になびかせ、結果として病院への攻撃という戦略は有効になる。より悲惨な画像をメディアに流し、世界の世論を動かすことは最も重要な戦略となっている。戦争自体は、常に非人道的であり、どちらがより人道的という議論は成り立たず、両者が常に非人道的である。人道的という普遍的なものを利用して、普遍的ではない倫理観を動かしてしまう戦略があることを忘れてはならない。

 イスラエルとパレスチナでは、イスラエル側が2000年から2009年まで146回の特攻攻撃(自爆テロ)により516名が死亡し8,022名が負傷した。2006年にはレバノンのヒズボラの戦闘員による4,000発のミサイルで、Western Galilee病院が爆撃された(すべての患者を地下に避難させたため負傷者は1名もなかった)。怪しい男がショッピングセンターに近づいてのを発見した女性警察官が発砲をためらった結果モール内で自爆した。2002年若いパレスチナ女性は妊婦を装い自爆テロの計画を立てた。パレスチナの救急車は武器や武装した人間を搬送し、医療従事者に脅威を与えていた。例を挙げたら数えない切れないくらい、イスラエルもパレスチナも日々身近に大きな脅威が生じている。日常的に脅威を感じていない日本人にはこのような緊迫した状況は恐らく理解できないであろう。生きるか死ぬかの生存競争に置かれている状況に対して平和な状況に置かれた者には、その人達の価値観や倫理観を推し量ることは不可能である。どちらかに肩入れするのではなく、戦争は両者とも非人道的であるという認識をもって対応するべきと思われる。

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