JALと海保の固定翼機の衝突の際に救助活動に役に立った、航空業界の「90秒ルール」

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 2024年1月2日のJALと海保の固定翼機衝突の際に、JALの乗客や乗員員の救助に貢献した「90秒ルール」について、解説したい。

 出口からの脱出は競う合うから脱出が困難になると言われ、西成活裕先生が「渋滞学」という学問で紹介している。それによれば、流動係数(出口幅1mあたりに1秒間に何人が出るか)については日本の建築基準法ではほとんどの場合1.5程度であり、例ロして、幅50cmの出口から10秒間に5人退出するとすれば、流動係数は5×100/50÷10=1人/m・sと計算される。流動係数はボトルネック幅70cmまでは高く、が70から120cmの幅で一定で、120cmを超えると流動係数はかえって低下する。肩幅40cmでは蟹歩き、70cmではお見合い、120cmでは真ん中に集中し、出口な幅が有効に利用されない。

 このように、退出する際には、出口の大きさも考慮しないと、ボトルネックとなり、human stampede(人の殺到:いわゆる糞詰まり)を起こし、退出がより困難となる。飛行機の退出口もこのような設計施行に基づいている。

 今回の脱出の「90秒ルール」とは、「乗客乗員全員が航空機の全ての脱出口の内、半分を使用して90秒以内に脱出可能でなければならない」というアメリカ連邦航空局が制定した規則により、国際航空運送協会(IATA)が遵守しなければならない規則のことである。ちなみに、筆者が搭乗したBoeing747-400(最大搭乗数:568名、脱出口:12個所)では、脱出口は6箇所使用するので、1脱出口当たり568÷6≒95人脱出口の幅が1mなら、1秒間に1.5人脱出できるので95÷1.5≒63秒という計算になる。乗務員の誘導に従って、落ち着いて競い合わずに脱出行動をすれば、Boeing747-400であっても、63秒で脱出できる計算になる。

 このような、ボトルネックになるような出口や階段には、このような流動係数が算定されており、ある程度知っておくほうが大きな危機の際に役に立つと思われる。

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