訓練研修のリアリティ

Pocket
LINEで送る

 自衛隊の「第一線救護衛生科隊員」(http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/meeting/kyumei/sonota/sonota.html)第一期生の教育研修が2017年5月11日から三宿の自衛隊衛生学校で始まり、最近では2018年6月に行われた。彼らは座学実技試験合格後は有事の際に彼らに許可された医療処置を遂行しなければならないため、線形アルゴリズムによる教育研修法ではあるがリアリティを求められている。確かに2018年の防衛セミナーでもリアリティが主題であり、外傷機転、シミュレーターも含めたシミュレーションなど訓練研修をより現実的にする方法論が紹介された。これは訓練でできないことは実践でできるはずがないという点では正解である。しかし、戦傷の場合は通常と異なり『devastating injury』と称されるように治療する側が途方に暮れるような損傷であり、外傷形態も多種多様で実践の経験が一番のリアリティーであり、これを訓練で正確に、かつ、忠実に想定することは難しく、この観点から戦傷医療訓練のリアリティの探究には限界がある。訓練研修のリアリティを追求しすぎるのではなく、医師のいないCUFにおいて経験も少なく基礎的な知識技術しかない第一線救護衛生科隊員が如何に自分に許可された能力技術を持ってdevasting injuryと戦うかが一番のリアリティーであり、そのためには治療の可否、継続と断念、処置困難に対する回避処置などを教えることが、一番のリアリズムと思われる。この上で、Trainingをexerciseとdrill に分けることが望ましい。前者は同じ訓練を何回も繰り返し手技や考え方を刷り込み、後者はシナリオ自体に想定外を設け臨機応変な対応を身に着けさせる。あくまでも教える側が教える目的や教条をもって、医師のいない戦場で医師の代わりを務めるのは第一線救護衛生科隊員のみであるというリアリティをもって教える必要がある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です